一日一首~うたかたに恋の歌語り~ -5ページ目

60 今のまま



君は君のままわれはわれのままで愛し愛されよう今のまま




時に つまらないことでぶつかって
しばしば いさかいをする私たち

だけど

こんなに自分の心をあずけられる相手は ほかに知らない
一緒にいてこんなにやすらげる人は ほかにいない

時が流れて

私たち自身が そして
私たちをとりまく環境が どんなふうに変わっても

あなたと私 こんなふうにいたいね

私たち自身が たがいの関係をゆがませることのないように
この関係が あなたと私をゆがませることのないように

あなたはあなたらしく 私は私らしいままで

このさきもずっと





さまざまな恋の風景、ひとの風景を歌によんでみたいと思います

59 ひともまた



鳥の名草の名吾に教える君の声もやさしい自然のひとつ




私に
たくさんのことを教えきかせてくれる声
やさしく語りかける声
教えさとす声
愛をささやく声 歌声

ずっときいていたい そんなあなたの声も
神さまがつくった、
たしかな自然のひとつ


そう そして
あなたにとって愛する人
まわりをとりまく人々の

そのかたちも その声も

美しい鳥の声のように
やさしくゆれる草のように
水の流れる姿のように

ひともまた
みんな まちがいなくみごとな自然のひとつ

 
 

さまざまな恋の風景、ひとの風景を歌によんでみたいと思います




58 ラベンダー



ラベンダーの群れにこの身を溶かし君のもと匂ひ解き放ちたし




こよい
ともにいられぬあなたのもとへ

ラベンダーの群れに
私のこの身を溶かしこんで 届けたい

こよい あなたが
やすらかな眠りにつけるように

いい夢をみられるように

そして
ほんのすこし
私のことを 思い出してくれるように

遠くはなれた場所にいる
あなたのもとへ届いたら

部屋いっぱいに
ラベンダーの香りが
私の香りが
やさしく満ちてくれますように





さまざまな恋の風景、ひとの風景を歌によんでみたいと思います

57 枠



きびしくもたしかな「枠」がたがいをまもるカウンセラーとクライエント




カウンセラーとクライエントとして以外の
人間関係をもってはいけない二者。

カウンセリング期間が終了しても
それはおなじ。

二者は
クライエントの 人間性への信頼回復
そして問題解決のための
協力関係にあるけれど

おかしてはならない歴然とした
「枠」
が 存在する。

日時をまもることも
時間の制限も
関係に一定の距離をたもつことも すべて

それは
きびしくも 冷たいようでさえもあるけれど

とりかえしのつかない
人間性への不信感
修復できない関係性
といったものから二者をまもる たしかな盾。

だれとだれのあいだにも
存在するべきものなのかも知れない。

「枠」とは
いろいろな言葉におきかえられるのだろう。





さまざまな恋の風景、ひとの風景を歌によんでみたいと思います


56 Happy Birthday  



うまれてくれてありがとう出会えてよかった今日は君のバースデー




その人がうまれてくれたことに感謝する日
うんでくれた人に感謝する日

たくさんの おめでとうと ありがとうを伝えたい

うまれてくれて ありがとう
であえたことに ありがとう
いま ともにいられることに ありがとう

だいじな人に 伝えようね
こころをこめて


    
      Happy Birthday to You !





さまざまな恋の風景、ひとの風景を歌によんでみたいと思います

55 フレンチカクタス



「おいしい」と無邪気に笑う君の横顔のいとしさフレンチカクタス




その夜

その人と私は 遠い街のBarで
旅の終わりが近づいたひととき
ともにカクテルを楽しんだ

2杯目に彼が選んだのはテキーラ
テキーラにホワイトキュラソーを加え
軽くステアしただけの
フレンチカクタスという名のシンプルなカクテル

彼はひとくち味わって

「おいしい」

と無邪気に笑った

ふっとチカラをぬいた
素直な彼の表情と
うれしそうな声の響きは
ここちよく
私の心の弦をはじいた

その場で抱きしめたいほど
そのときたまらなく
彼が愛しかった

ともに過ごすその時間が
愛しかった





さまざまな恋の風景、ひとの風景を歌によんでみたいと思います

54 魔性の衝動



冷静にわれをいさめる君が時ににくしくるわせてみたくなる




感情にひきずられることのない
あなたの冷静さも すき

私の感情の波を
うまくなだめてくれる
あなたのお気楽さも すき

いつも 私を納得させる
あなたの論理的で知性的な語り口調も すき

ときどき
肩すかしをくったような気になることも
ものたりないような気持ちになることも
あるけれど

あなたの冷静さに ほがらかなお気楽さに
そしてあなたの知性に
感情的で 悲観的で あさはかな私は
いつも救われている

わかっている
よくわかっている

それだからこそ
私たちがうまくやってゆけるのだということも

わかっている
それでもなお

ときどき私は
そんなあなたの冷静さを お気楽さを 知性を
あなた自身を めちゃめちゃに
くるわせてみたくなる

理屈も道徳も常識も ぬぎすてた
感情的な 本能のままの
原始のあなたを
ひきだしてみたくなる

あなたの いのちの奥底にある
心からの叫びをきいてみたくなる

私のなかにある 魔性の衝動





さまざまな恋の風景、ひとの風景を歌によんでみたいと思います

53 いちりんの



すみれ、たんぽぽ、れんげそう君のやすらぐ一輪の花になりたい




どんなときも
君のかたわらにいて
ほほえみとやすらぎをあげたい
じゃまにならぬように

君が疲れたとき
傷ついたとき
そっと癒やしてあげられる私でいたい

君のまわりの人が
みんな君から離れていってしまったとしても

私だけは そばにいるよ

君のいちばんすきな花になって
いつもそばにいたい





さまざまな恋の風景、ひとの風景を歌によんでみたいと思います


52 ナースの吾なれど 



病めるはらから救うより救われ教わること多きナースの吾よ




誰かの役にたちたくて
病んでいる人の手助けがしたくて

ナースになった

でも実際は
いたらない自分に気づくばかり
未熟な自分がはがゆいばかり

病む人の しなやかなつよさに
傷ついた人の やさしさに

教えられ 救われることばかり

年をかさねた今でも

私は 
誰かの役にたっているといえるのでしょうか
こんな私でも 生きていていいのでしょうか

ときどき
叫びだしたくなる





さまざまな恋の風景、ひとの風景を歌によんでみたいと思います

51 在るべき海へ



人波におされ流るる吾はさかな在るべき海へたどりつきたい




息ぐるしい
ここは空気が澄んでいない
空がみえない

進めない
水がよどんで泳げない 濁って前がみえない
手や足にからみつくたくさんのものたち

言葉がつうじない
心がかよわない

私の言葉は 思いは 声はとどかず
誰にもきこえない

ここは
私の住める海ではない
ここでは生きてゆけない
息がつまって死んでしまう

いつか いつか たどりつきたい
思いきり 澄んだ空気のすいこめる場所へ
空のみえるところへ

自由に泳ぎまわれる私の海へ
ともに生きるものがいる海へ

私の住むべき世界へ





さまざまな恋の風景、ひとの風景を歌によんでみたいと思います